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千灯岳(登山口~不動山五辻不動尊~千灯岳~林道~登山口 2009.12.6)
不動茶屋より千灯岳を望む。  内山での敗退から2日後 ――
 僕は痛む足を引きずりながら、仕事で営業先である国東市役所の商工観光課を訪ねた。
 「おお、ちょうどよいところへ」
 部屋に入る早々、日頃お世話になっている商工観光課の金当さんから声がかかった。
 「山岡くんは鷲巣岳という山を知ってる?」
 「いえ、耶馬渓にある鷹ノ巣山なら知っていますが・・・それが何か?」
 「いや、さっき鷲巣岳のことで問い合わせの電話があったんだけど、らんぼう流のホームページを見ても載ってなくてなあ ――
 「申し訳ありません・・・」
 山と聞いて、すぐにうちのサイトを開いてくれるとは、何ともありがたいことである(^^;
 今週末は一昨日苦杯を嘗めさせられた内山に再度アタックを仕掛けようと思っていたのだが、これは予定を変更してでも鷲巣岳とやらに行ってみるしかないだろう。
 家に帰って、インターネットで鷲巣山を検索してみると、国東市国見町にある標高436.5メートルの低山だとわかった。
 所要時間は往復1時間程度のようだ。
 さすがにそれだけでは物足りないので、地理的に近い場所にある千灯岳も合わせて登ってみることにする。

 ―― アタック当日、前回の教訓を活かして少し早出することにしたらんぼ~流。
 単独行にしては珍しく午前9時前に大分市を出発し、国道10号を北上。
 杵築市山香で県道31号に乗り換え、ひたすら国見町に向けてひた走る。
 国見町に入ってしばらくすると道路の右手に『六郷満山ふれあい森林公園』の入り口を示す案内標識が見えてきた。
 最初の目的地である千灯岳の登山口はこの先にある。
 標識に従い右折すると、すぐに分岐点が現れた。
 それぞれの道は最終的に繋がっているのでどちらに曲がっても登山口には着くが、最初に旧千灯寺跡を見学していくならここも右折していこう。
 細い道をしばらく進むと左手に大きな駐車場がある。
 未舗装だが、50台以上駐車することができるだろう。
 車を止め、車道を少し戻ると旧千灯寺跡への入り口がある。
 らんぼ~流はあまり神社仏閣には興味はないのだが、とりあえず、野次馬根性で見ていくことにする。
 参道をしばらくあがると豪壮な石垣が見えてきた。
 「おお、これは・・・」
 鮮やかに黄葉したイチョウの葉が降り積もった境内にあの有名な仁王像が2体忘れ去られたように立っている。
 静謐という言葉がこれほど似合う空間を僕はかつて見たことがない。
 まるで時間が静止しているかのようだ。
 「うーむ、こいつはすごい・・・」
 しばし、呆けるらんぼ~流である(汗
 今日のハイライトはこれで見終わってしまったような気がしたが、とりあえず先に進まねばならない。
 続いて、1,000基を超えるという五輪塔群と奥ノ院を見学した後、駐車場に戻り、車でさらに林道を奥へと走った。
 11時40分、登山口に到着。
 ここにも10数台の車を止められそうな駐車場がある。
 駐車場には「不動茶屋」という名の茶店や手入れの行き届いたトイレも併設されており、千灯岳登山者よりもむしろ五辻不動尊にお参りする観光客向けに整備されているといってよかろう。
 仁王像で思いがけなく時間を費やしてしまったので、周辺散策もそこそこに山中に突入。
 観光客の間隙を縫うようにして五辻不動尊に参拝、通過し、千灯岳に向かう。
 この山域には不動山をぐるりと回る「ふれあいルート1」と千灯岳本峰に登る「ふれあいルート2」というルートが設定されており、2つのルートの合流点から先は千灯岳に登る登山者だけの世界となる。
 12時13分、合流点を通過。
 ここからしばらくの間は登山道の左側に延々とネットが張られている。
 風情はないが、道迷いの心配もない(^^;
 緩やかなアップダウンを繰り返し、15分ほど進むと登山道はいったん林道と交差する。
 林道との交差地点の路肩には数台分の駐車スペースもあるので、手っ取り早くここを取付としてもよいだろう。
 林道から擬木の階段を登って再び登山道に戻ると、すぐにベンチが2つ並ぶ休憩場がある。
 休憩場を過ぎると、ルートは一気に傾斜を増してゆく。
 遠方から見る千灯岳は形の整ったピラミダルな山容をしているが、それが実感できるような急登だ(汗
 しかし、今回は足の痛くなる重登山靴ではなくトレイルラン用のシューズを履いているらんぼ~流、この程度の急登は望むところである(^^
 12時58分、「山頂ま・・・」と書かれた道標に到着。
 残り時間か残り距離かはわからないが、とにかく肝心の情報が消えているw
 しかし、ここで一度立ち止まり、後ろを振り返ってみて欲しい。
 木々の枝の向こうに先ほど通った不動山の岩峰と姫島が見えるのがわかるだろう。
 今回のコースの中ではここが一番のビューポイントではないかと思われる。
 道標を過ぎると厳しかった傾斜は次第に緩やかになっていく。
 やがてほとんど傾斜を感じなくなったら、山頂はもうすぐそこだ。
 13時11分、山頂に到着。
 山頂はそこそこに広く、テーブルやベンチも設けられている。
 数年前の情報では山頂からの眺望もまずまずという話だが、今回実際に登ってみると周りの木々が生長していて残念ながらあまり展望は利かない。
 山頂からは一ノ瀬溜池のそばの赤根登山口に下る道も延びているが、今回はパス。
 行動食を摘んで小休止した後、下山開始。
 復路は林道出合まで往路を戻り、そこから林道を使って駐車場まで戻ることにする。
 14時14分、駐車場に到着。
 引き続き、本日の本命である鷲巣岳に向けて行軍開始だ。

 (→次項、「鷲巣岳」に続きます)
(文・山岡隊員 、写真及び写真説明・山岡隊員)
よく目立つ案内看板がある 分岐があるが、いずれ合流するのでどちらに行っても登山口に出る 旧千燈寺跡駐車場
県道31号を北上していると、道の右側によく目立つ案内看板がある (10:51) 分岐があるが、いずれ合流するのでどちらに行っても登山口に出る (10:53) 旧千燈寺跡駐車場 (10:58)
未舗装ではあるが、かなり広い場所だ。
旧千燈寺跡入口 豪壮な石垣が何とも言えない風情を醸している 旧千燈寺仁王像
旧千燈寺跡入口 (11:01)
駐車場から少し下った場所にある。
のんびりと遊歩道を歩く。豪壮な石垣が何とも言えない風情を醸している。 旧千燈寺仁王像 (11:07)
まるで時間が停止しているかのようだ。
遊歩道分岐 五輪塔群 旧千燈寺奥ノ院
遊歩道分岐 (11:13)
先に五輪塔を見に行くことにする。
五輪塔群 (11:17)
全体像はカメラに収まりきれません(汗
旧千燈寺奥ノ院 (11:21)
ここもまた何とも表現しがたい風情だ。
千灯岳登山口駐車場 駐車場には男女別のトイレ(写真右)と不動茶屋(写真左上)もある 行軍開始
千灯岳登山口駐車場 (11:40)
目の前に見えるのは不動山である。
駐車場には男女別のトイレ(写真右)と不動茶屋(写真左上)もある。 行軍開始 (11:55)
ふれあいルート1の登山口から入山。
登山道の様子 馬ノ背に出る 五辻不動尊
登山道の様子。
よく整備された木組の階段を登る。
すぐに馬ノ背に出る (12:00)
岩にステップが刻んであるので簡単だ。
五辻不動尊 (12:04)
想像よりも新しい建築物のようだ。
五辻不動尊の渡り廊下(?) ガラス戸を開けて内部を拝見 渡り廊下を横断して再び登山道へ
五辻不動尊の渡り廊下(?)
土足で歩くのが申し訳ないくらいだ(^^;
ガラス戸を開けて内部を拝見。
美しく清掃されている。
渡り廊下を横断して再び登山道へ。
不動山の大岩を巻いて行く。
分岐点 登山口の様子 林道を横断し、再び山道へ
分岐点 (12:13)
ここを下るともうひとつの登山口に至る。
登山口の様子。
左手には延々とネットが張ってある。
林道を横断し、再び山道へ (12:29)
すぐそばに駐車スペースもある。
林道から上がってすぐの場所にある休憩所 厳しい角度の登り坂が続いている 「山頂ま・・・」と書かれた標識
林道から上がってすぐの場所にある休憩所。ベンチが2つ設置されている。 登山道の様子。
厳しい角度の登り坂が続いている。
「山頂ま・・・」と書かれた標識 (12:58)
肝心の距離情報が消えている(^^;
道標のある場所からは姫島がとてもよく見える(^^b 登山道がなだらかになってくると、山頂はもうすぐそこである。 千灯岳山頂
前出の道標のある場所からは不動山の岩峰と姫島がとてもよく見える(^^b 登山道がなだらかになってくると、山頂はもうすぐそこである。 千灯岳山頂 (13:11)
標高は605.8メートル。
広々とした山頂にはテーブルやベンチが設置されている 山頂の展望は木々に囲まれていてあまりよくない 復路は林道を歩いてみることにする
広々とした山頂にはテーブルやベンチが設置されている。 山頂の展望は木々に囲まれていてあまりよくない。写真中央の山は両子山。 林道との合流地点 (13:48)
復路は林道を歩いてみることにする。
れあい森林公園からの林道と合流 もうひとつの登山口を通過 駐車場に到着
ふれあい森林公園からの林道と合流。
登山口は右の方向だ。
もうひとつの登山口を通過 (14:08)
千灯岳ふれあいルート2というらしい。
駐車場に到着 (14:14)
引き続き、鷲巣岳に向けて移動開始だ。
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ザック背面の通気性にこだわりを持つことで知られるドイツのアウトドアメーカー、ドイターの代表的モデル。一般的な日帰り登山に必要十分な容量を持つ2気室の使いやすいデイパックである。レインカバーが内蔵されている点もポイントが高い。

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トレッキングステッキの老舗レキの衝撃吸収システムを搭載したスタンダードモデル。最近では他メーカーから安価な製品が発売されているが、時に命を預けることのある装備にはある程度の予算をかけておくべき。同社の製品にはさらに軽量のカーボンモデルもあるが、カーボンは一旦傷がつくと脆そうなのでアルミ素材のものが安心。

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鷲巣岳(登山口~鷲巣岳~鬼籠列石~登山口 2009.12.6)
標高436.5メートルの鷲巣岳山頂。  さて、千灯岳を後にした僕は、再び県道31号に戻ると、さらに半島を北へと上った。
 現千燈寺を左に見送り1.4キロほど進むと、鷲ノ巣方面へ向かう道がある。この道は標識などの目印がないので、後掲の写真を参考に場所の特定をしていただきたい。
 そこを左折し、曲がりくねった山道を西へ西へと進むと、やがて櫛海川に架かる大平橋が見えてくる。橋を渡ったところには鷲ノ巣方面に進む道と国道213号に出る道が示された指導標がある。
 指示に従って左に曲がり鷲ノ巣地区の集落を抜けると、道は次第に悪くなり、最後には未舗装の林道となる。
 林道をしばらく進み、左手に炭焼き小屋が見えてくると登山口は近い。
 緑色をした登山口の案内標識にはさらに500メートルほど奥に駐車場があると記されているが、この先は道幅があまりに狭く離合することさえままならない。
 あまり無精せずに、この辺に駐車した方が無難である。
 標識から歩き始めて8分、15時21分に登山口到着。
 登山口には辛うじて駐車場と呼べるスペースがあるが、2台止められればよい方だろう。
 そのまま、素通りして山中へ。
 「おお、これはなかなか気持ちのよい道だな」
 ここまでの道程にあまりよい印象を抱いていなかった僕は、初冬のやわらかな残照の中、ひっそりと、しかし決して陰鬱ではなく明るい静寂に満ちた里山の登山道に半ば感嘆しながら歩いていた。
 まだ新しい落ち葉に覆われた道はここに来るまでの隘路よりはるかに広々としていて気品に溢れている。
 もちろん、天候とかそういういろいろな要素が絡まり合って、そういう雰囲気を醸し出しているのだろうが、どうも六郷満山に関係する山にはそうした「品格」のようなものが自然に備わってくるのだろうな、と僕は思った。
 本日2つ目の山だが、傾斜があまりにも穏やか(注1)なので全く疲労を感じない。
 15時37分、石造りの鳥居に到着。
 ネットで見た写真では一部崩れていたので、つい最近、修繕されたものだろう。
 この鳥居を境にして登山道の様子が変わり始める。
 ここまでは緩やかなスロープにやわらかな落ち葉を一面に敷き詰めたような道だったのに対し、鳥居の少し先からは一抱えも二抱えもあるような大岩が地面からいくつも突き出している岩尾根のような道となった。
 決して歩きにくい道ではないが、岩の間を縫うようにして先に進む。
 15時44分、登山口から歩き始めて20分ほどで山頂に到着。
 あまりにもあっけなく着いてしまったので、僕は少し拍子抜けをした。
 「うーむ、本当にここが山頂なのか?」
 山頂には『鷲巣岳』と書かれた小さなプラスチック板の道標が立てられている。
 その横には二等三角点を示す石柱があるから、ここが山頂であることは間違いないらしい。
 しかし、目の錯覚だろうか、山頂から南に延びる道を見るとまだ少し上り坂になっているように見える。
 どうも気になるので少しだけ先へ進んでみると、左手の岩陰に小さな石像が見つかった。
 「むむ、この石像は役小角ではないだろうか・・・」
 僕は鳥居に彫られてあった祭神の名前を思い出して呟いた。
 トレードマークの前鬼・後鬼を連れてはいないが、いかにも山伏のような風体をしている。
 自身の目で役行者の石像を見るのは初めてだったので、なかなか興味深い。
 その隣には弘法大師らしい石仏が2つ鎮座している。
 視線を再び前に移すと、今度は道の右側に石室があり、その中に4体の石仏が祀られていた。
 左端の2体は言わずと知れた不動明王。
 その隣、右足を大きくあげて今にも歩き出しそうな石仏は役行者が感得したとされる蔵王権現だろう。
 一番右端の柔和なお顔をした石仏も高下駄を履いているように見えるので役行者の像と思われる。
 「こいつはなかなかおもしろいな」
 まだ何か見つかるかも知れないので、石室を後にしてさらに先へ進んでみる。
 最後、道の真ん中を塞いでいるひときわ大きな岩の横を抜けると、登山道が途切れ、いきなり展望が開けた。
 「おお、あれは中山仙境だな。 ―― なるほど、そういう位置関係か」
 しばらく展望を楽しんだ後、往路を戻ろうとすると、先ほどの大きな岩の陰に小さな石の祠があった。
 祠には『風天社』と文字が彫られている。
 鳥居にも名前が彫られていたが、十二天の一神、風天を祀っているようだ。
 15時57分、下山開始。
 登山口へは16時17分に到着。
 そのまま車の駐車場所まで歩いて戻っていると、道の右側の林がわずかに切れているのに気づいた。
 試しに登山道から外れて林の中に入ってみると、案の定、来る途中に時間の都合で割愛した鬼籠列石の中心部に出ることができた。
 注意して見ると、明らかに人の手で並べられたような石ころの列が一帯を丸く囲んでいる。
 鬼籠列石から林道まではほんの僅かな距離だ。
 列石に沿って歩き、駐車場所へ。
 下山時刻は16時28分であった。
  • 注1)プロトレックのアルチメーターで計測したところ、登山口と山頂との高度差はわずか95メートルであった。
(文・山岡隊員 、写真及び写真説明・山岡隊員)
県道31号から鷹ノ巣方面へ 櫛海川に架かる大平橋 炭焼き小屋を過ぎると「環状列石」と書かれた標識がある
県道31号から鷲ノ巣方面へ。
千燈寺から約1.4キロ先を左折する。
櫛海川に架かる大平橋 (15:01)
橋を渡ったところに案内標識が見える。
炭焼き小屋を過ぎると「環状列石」と書かれた標識がある (15:12)
鷲巣岳登山道への案内標識 案内標識に従ってカーブを曲がると、このような隘路に入る 嫌な予感がするので、徒歩で行くことに
鷲巣岳登山道への案内標識 (15:13)
500m先に駐車場があると言うが・・・。
案内標識に従ってカーブを曲がると、このような隘路に入る。 嫌な予感がするので、徒歩で行くことに。
写真はさらに車道を進んだところ。
鷲巣岳登山口に到着 止まることなく、行軍開始 登山道の様子
鷲巣岳登山口に到着 (15:21)
駐車場には2台入ればよいほうだ(^^;
止まることなく、行軍開始。
明るくて気持ちのよい登山口だ。
登山道の様子。道幅は広く、斜面も緩やかでとても歩きやすいコースである。
ルート上には「国見町」と書かれた石柱が散見される 石造りの鳥居を発見 鳥居の上の石板には祭神の名前が彫られている
ルート上には「国見町」と書かれた石柱が散見される。 石造りの鳥居を発見 (15:37)
最近、修繕されたもののようだ。
鳥居の神額には祭神の名前が彫られている。
鳥居を過ぎると道の様相は一変する 登山道からの眺望 鷲巣岳山頂に到着
鳥居を過ぎると道の様相は一変する。
大きな岩を縫うようにして進む。
登山道からの眺望。国東半島の山独特の奇岩があちこちの山腹に見える。 鷲巣岳山頂に到着 (15:44)
写真左は二等三角点だ。
山頂からさらに南に足を伸ばすと、数体の石仏を目にすることができる 祭神のひとつ、役行者 弘法大師と思われる石仏が2体祀られている
山頂からさらに南に足を伸ばすと、数体の石仏を目にすることができる。 巨石の上に鎮座する石仏。
おそらく祭神のひとつ、役行者だろう。
その隣には、弘法大師と思われる石仏が2体祀られている。
さらに進むと、屋根のある石室がある 山頂の南端にある巨石 「風天社」と書かれた石祠
さらに進むと、屋根のある石室がある。
中央にある石仏は蔵王権現だ。
山頂の南端にある巨石。石の裏には「風天社」と記された石祠がある (15:51) 「風天社」と書かれた石祠。
祭神は十二天の一神、風天だろうか?
山頂南端からの展望 登山口に下山 鬼籠列石の中心部
山頂南端からの展望。
正面右に黒木山、手前に中山仙境。
登山口に下山 (16:17)
車に戻る前に環状列石に立ち寄る。
鬼籠列石の中心部 (16:23)
中心から周りを見渡してみると・・・。
鬼籠列石の石群 林道に出る 駐車場所に到着
鬼籠列石の石群。
間違いなく人の手によるものだ。
林道に出る (16:27)
今回は日没までに下山できた(^^;
駐車場所に到着 (16:28)
天候にも恵まれ充実した山行だった。
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■CASIO(カシオ) PROTREK(プロトレック)PRG-110CJ-1JF■
山では時を知ることは太陽を味方につけることと同義である。行動計画の管理、撤退やビバークのタイミングを決断するのに絶対に必要なアイテムだ。選ぶポイントとしては電池の交換で機密性が失われないようにタフソーラー駆動であること。あとは予算と相談だ。方角や高度計測などの機能がついた時計は持っていて楽しいが、そのあたりは別途ハンディGPSにまかせてもよい。
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第1回ビバーク演習 (沢水~立中山~坊ガツル~法華院温泉山荘~久住山~鳴子山 2009.12.12-13)
展望のよい立中山山頂。背後は白口岳。
■1日目 [その1]
沢水~鉾立峠~立中山~坊ガツル

 今を遡ること9年前、登山における年間遭難件数が初めて1000件を突破した。
 以来、その数は年を追うごとに増加の一途を辿っている(注1)。
 実際のところ、この統計には数字のマジックみたいなところ(注2)があるのだが、今年はトムラウシでの遭難事故や著名人の遭難が相次ぎ、山岳事故に対して世間の耳目が集まることとなった。
 幸いにしてらんぼ~流には遭難の経験はないが、自身の力量不足は常日頃から感じているし、いつ何時、天候の急変やその他の要因によって危険な目に遭わないとも限らない。
 山屋の常識として普段から非常食やエマージェンシーブランケットの類は持ち歩いているが、緊急時、本当にそれらを使いこなして無事生還することができるかどうか、確たる自信はない。
 そこで普段から持ち歩いている装備だけで実際にビバークする訓練を始めることにした。
 第1回目となる今回は初めての演習であることを考慮して、目的地をくじゅう山系にある坊ガツルキャンプ場に設定した。
 ここには以前、テントで連泊した経験もあり、また、そばにはくじゅうの登山基地として名高い法華院温泉山荘がある。
 温暖な九州地方とはいうものの、12月も半ばとなったこの時期、標高1200メートル付近にある坊ガツルでは最低気温が零度を下回ることも珍しくない。
 まともな防寒着やシュラフを持たずに挑む初めての演習、すぐそばに避難できる場所があることが目的地選定の絶対条件となる。
 
 演習当日、午前10時35分に久住山本山登山口に到着。
 今回はソールの張替えで長らく入院していたザンバラン・フジヤマの復帰後初の実戦である。
 10時44分、第1目標地点である立中山に向けて行軍開始。
 立中山については、10年以上前に一度登りかけたことがあるが、道迷いで撤退した苦い経験を持つ。
 以来、今日までいつかリベンジしてやろうと機会を窺っていた場所である。
 11時58分、このところ毎年のようにマンサクを見に来ている佐渡窪を通過。
 そのまま歩き続けて、立中山への取付きがある鉾立峠へは12時32分に到着した。
 視界のよい日にカメラを持ってここに来たのは今回が初めてである。
 物珍しさも手伝って、すぐ隣に聳える白口岳や先ほど歩いてきた佐渡窪をカメラに収めた。
 「―― しかし、これはかなり厳しいな」
 遮蔽物のない鉾立峠は坊ガツルの方から駆け上がってくる冷たく湿った風がもろに当たる。
 わずか数カットを撮影する間に汗で濡れた身体は一気に体温を奪われていった。
 今日は泊まりなのでもっとゆっくりと行程を楽しみたいのだが、寒さに追い立てられて、5分ほどで行軍を再開(^^;
 鉾立峠から立中山への道は幅は狭いもののはっきりとしていてそれなりにわかりやすい。
 10年以上前のことで定かな記憶はないが、そのときどうして道を見失ったのか、不思議なくらいだ。
 まあ、僕のスキルはそれほど上達していないので、道が整備されてわかりやすくなったのだろう。
 立中山山頂へは12時52分に到着。
 これで本日の第1目標地点は攻略である。
 次は大船山の登山道に合流して、坊ガツルへ下らねばならない。
 立中山山頂には登山道の方向を記した道標が見当たらない。
 登って来た方向とは反対側に坊ガツルから延びる大船山登山道と合流するルートがあるはずだと当たりをつけていたら、赤いビニールテープのマーカーがつけられた一見しただけでは道とはわからないような細い踏み分けが見つかった。
 「うーむ、これとしか思えないが・・・」
 確たる行き先を表記した道標がない上に獣道並みのルート、一瞬躊躇したが、まだ日没には時間がある。
 途中で道が消失すれば、ここに登り返して鉾立峠に下り、そこから坊ガツルに出るという選択肢もあるし、何より、今回ははじめからビバークすることを目的とした山行だ。
 もとより、準備と覚悟はできている。
 「よし、行ってみるか」
 マーカーを見失わないように慎重に行軍開始。
 下り始めてからしばらくは細い枝を掻き分けながら進まなければならないような悪路が続く。
 「くそ、これが延々続くのか。・・・目をやりそうで怖いな」
 ゴーグルを持ってきていなかったので、片手で両目を保護しながらひたすら我慢の行軍だ。
 さすがに引き返そうかと思い始めた頃、道の両側に大きなケルンが出現。
 と同時に、煩わしかった潅木の密集地を抜け、普通に歩けるような道に変わった。
 ここから先のルートは、渡渉点があったり、曲がりくねった低木がひしめく印象的な林の中を抜けたりと、変化に富んでいてなかなか面白い。
 とはいえ、相変わらず踏み跡は細いのでマーカーには常に注意を払っておく必要がある。
 13時45分、小雨の降る中、ようやく大船山登山道に合流。
 この先は勝手知ったる登山道だ。
 下の方からは、人の声も聞こえてくる。
 ここに至るまでの道中、誰一人として登山者には遭遇しなかったから、さすがに少しほっとした(^^;
 14時16分、坊ガツルキャンプ場に到着。
 これより、第1回くじゅう冬季ビバーク演習に突入する。
  • 注1)昨年、全国の山で起きた遭難事故は1631件、死者・行方不明者は281人と、ともに統計を始めた1961年以降最悪であった。遭難者数も1933人と前年より125人増え過去最悪。発生件数は前年より147件、死者・不明者数は22人増えた。ちなみに、この記事を書いている現在、今年の全国統計はまだ発表されていない。
  • 注2)遭難件数が急増した背景には、近年の登山ブームで中高年を中心とする登山者の数が増えたことが大きな原因であるが、同時に携帯電話の普及と従来の山屋なら自力下山が常識だったような軽微な怪我や道迷いなどのトラブルでも救助要請するケースが増えていることがあげられる。極端な例では、下山口を間違えただけで救助を要請したというケースも報告されているほどだ。
(文・山岡隊員 、写真及び写真説明・山岡隊員)
久住山本山登山道入口 本山登山口 修理から戻ったばかりのザンバラン
久住山本山登山道入口 (10:30)
雲が多いのが気にかかる。
本山登山口 (10:35)
思ったより入山者は多いようだ。
修理から戻ったばかりのザンバラン。
「相棒よ、これがくじゅうの土だ(^^」
行軍開始 登山道の様子 くたみわかれ
行軍開始 (10:44)
まずは鉾立峠を目指して歩く。
登山道の様子。くたみわかれまでの道は半ば舗装されているので歩きやすい。 くたみわかれ (11:07)
漢字では「朽網岐れ」と表記する。
登山道の様子 鍋割峠 佐渡窪
登山道の様子。佐渡窪までは緩急入り混じった、とてもよい感じの登山道だ。 鍋割峠 (11:51)
ここから佐渡窪まで下り坂となる。
佐渡窪 (11:58)
雨天時の巻道もあるが、今回は直進。
例年、お世話になっているマンサク 前出のマンサクの木を過ぎると、道の両側にアセビの大群落が現れる 鉾立峠に到着
例年、お世話になっているマンサク。
来年も花の季節にまた会いたいものだ。
前出のマンサクの木を過ぎると、道の両側にアセビの大群落が現れる。 鉾立峠に到着 (12:32)
冷たく湿った強風が容赦なく当たる。
鉾立峠より佐渡窪を望む 鉾立峠より白口岳を望む 立中山に向けて進軍開始
鉾立峠より佐渡窪を望む。
こうして見ると、意外に狭く感じる。
鉾立峠より白口岳を望む。
とても立派な山容である。
立中山に向けて進軍開始 (12:37)
実は今回初めて登る山だったりする(^^;
狭い登山道には白い土嚢袋が敷かれていてちょうどよい足がかりとなっている 立中山の肩に到着 立中山山頂に到着
狭い登山道には白い土嚢袋が敷かれていてちょうどよい足がかりとなっている。 立中山の肩に到着 (12:44)
ここから山頂までは緩やかな道だ。
立中山山頂に到着 (12:52)
標高は1464メートル。
山頂より法華院温泉山荘を望む 下山開始 マーカーだけが頼みの下山、このようなケルンに出会うと安心する
山頂より法華院温泉山荘を望む。
この角度からの法華院は新鮮だ(^^
下山開始 (13:02)
大船山登山道との合流点を目指す。
マーカーだけが頼みの下山、このようなケルンに出会うと安心する。 (13:17)
徒渉点 文字の消えた道標 こんな道がくじゅうにあったとは・・・
徒渉点 (13:29)
普段はほとんど水はないかも知れない。
文字の消えた道標 (13:31)
『大船●●まで1.8●●』と読める。
こんな道がくじゅうにあったとは・・・。
本当に懐の深い山域だ。 (13:32)
涸れ沢を渡る 大船山登山道に合流 坊ガツルに到着
涸れ沢を渡る (13:41)
この頃から小雨がぱらつき始めた(汗
大船山登山道に合流 (13:45)
あとは勝手知ったる登山道である。
坊ガツルに到着 (14:16)
これより第1回ビバーク演習に移る。
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■zamberlan(ザンバラン) フジヤマGT■
軽登山靴の代名詞、ザンバランのフジヤマ。その飾らないシルエットとともに、アッパーとソールとの合わせに最近ではあまり見かけなくなった縫い加工を施したトラディショナルな一足。信頼の持てる堅牢な作りは履いていて安心感がある。らんぼ~流もこの靴を15年以上相棒としている。

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冷たい雨が降りしきる中、第1回冬季ビバーク演習を敢行。
■1日目 [その2]
ビバーク演習(坊ガツル)  [撤退]

 さて、坊ガツルに到着した僕はその足で管理休憩舎に向かった。
 30分ほど前から降り始めた雨は少しずつだが確実に強くなってきている。
 ―― ここはひとまず管理休憩舎に逃げ込んで、温かいコーヒーでも飲みながら雨が小康状態になるのを待とう。
 雨の中、大船山登山道を下りながら、僕はそんなふうに計画を立てていた。
 今回の演習は日帰り登山を想定した装備だけで挑んでいるので、防寒着や着替えの類は一切用意していない。
 準備不足と思われるかも知れないが、僕はこれまで日帰りの山行で着替えの必要を感じたことはないし(注1)、冬季でもよほど深い雪が積もっていない限りゴアテックスのレインウェアで充分防寒着の代用ができると考えている。
 しかし、シュラフやマットのない今回の演習 ―― 僕は最初からレインウェアを雨具ではなく寝具として考えていた。
 今考えれば、こんな段階からビバークすることを想定した行動をとるのは不自然だし、12月という時期も考慮すると、ここはきちんと雨具を雨具として使っておくべきだったのだが、このときの僕は大切な寝具を雨で濡らしたくない一心でレインウェアを着ずに歩いていたのだ。
 管理休憩舎に着くと、ちょうど男女4人のパーティーが小屋の前でドーム型のテントを2つ並べてくっつけたような大型のテントを設営しているところだった。
 「お、この雨の中、同類がいるのか ――
 見たところ、ダンロップが出している6人用のアルパインテントのようだ。
 「本格的だなあ・・・」
 そう思ったのも束の間、彼らは「雨だ雨だ」と騒ぎながら、設営したばかりのテントをそのまま管理休憩舎の中にそそくさと運び込み始めた。
 「―― ちょw おまっwww」
 これで深夜やばくなったら、管理休憩舎に避難するというプランはなくなった。
 テントを張る際の会話の様子から考えるに、パーティの中に一人「俺がルールだ」的な仕切り屋のおやじがいるようだ。
 今の時期、シュラフも持たずに泊まろうとしている愚行を、あれこれ説教されてはかなわない。
 仕方がないので管理休憩舎を素通りし、炊事棟の方へ移動することにした。
 炊事棟は壁がないので風を遮ることは無理だが、雨を避けるくらいならできるだろう。
 そう思っていたが、実際は風に飛ばされた細かい雨粒が間断なく降り込んできていて、とても雨宿りできる状況ではない。
 「やはり、失敗だったか・・・」
 レインウェアを着ていれば、どうということはないシチュエーションだ。
 しかし、下着と濡れた山シャツの2枚だけで行動している目下の僕にはかなり辛い状況であった。
 雨に濡れた衣類はわずかな風でも体温をどんどん奪っていく。
 一刻も早く、ツエルト(注2)を張る必要が出てきた。
 「 ―― くそ、いきなり本番かよ」
 恥ずかしながら、らんぼ~流は実戦でツエルトを張った経験がない。
 物理の実験室のような無風状態に近い環境下の近所の公園で一度だけ設営の真似事をしたくらいである。
 そういうわけで今回はいろいろと試行錯誤するその様子をカメラに収め、このサイトでらんぼ~流のツエルト設営術を解説してみようとか妄想していたのだが、もはや、そんな余裕などなくなっていた(汗
 かろうじて、設置前の整地の様子をカメラに収めたものの、そこで挫折。
 設営場所とカメラの三脚との間を幾度となく往復し、それらしいポーズをとりつつ、解説のためのやらせ写真を撮影するのは想像以上に手間がかかるのだ(^^;
 適当に整地を終わらせると、次にツエルトの底面サイズにあわせて改造したグランドシート(注3)を敷く。
 こいつは普段、昼食時などに地面に敷いているものだ。
 その後、LEKIのトレッキングポールを支柱に使って設営しようとしたが、ここでまたもやトラブルが発生した。
 いや、トラブルというより、ど忘れだ(汗
 自宅で何度となく練習したはずのポールを固定する結び方が本番を迎えた今、頭からすっぽりと抜け落ちていた。
 「くそ、昨日までできてたのに、何故本番で・・・」
 適当に結びつけて済まそうかとも思ったが、この雨の中、真夜中にツエルトが崩れたりしたら、それこそ目も当てられない。
 かじかんだ手で悪戦苦闘する僕の背中を冷たい雨が容赦なく叩き続けた。
 「ここは・・・たしか、この輪っかの下をくぐらせて・・・。くそ、違うか」
 焦れば焦るほど思い出せなくなる。
 「くそ、もう、この方法はなしだ」
 サイトの記事のために2本のトレッキングポールを支柱代わりにして玄人っぽく設置した写真を撮りたかったのだが、この際、背に腹は変えられない。
 ていうか、もう寒さでどうでもよくなってきていた(汗
 設置場所を当初の位置から少し移動させ、木の枝に張り綱をかけて設営する方法に方針を変更。
 こうなると、タープを張る要領と同じだから勝負は早い。
 まず、グラウンドシートの上にツエルトを広げ、底面の4隅をペグで地面に固定する。
 その後、ツエルトの両の頂点にあるループにそれぞれ2本、合計4本の張り綱をつなぎ、片方の端を木の枝にひっかけてから自在金具を使って均等にテンションをかけていくだけだ。
 最初からこうしておけばよかったと思いながら、10分ほどで設営を完了。
 濡れた荷物をツエルトの中に搬入する。
 「ひとまずはこれでいいか・・・」
 ツエルトを設置したことで少し精神的な余裕が生まれたので、お預けになっていた昼食の準備に取り掛かる。
 ツエルト内で煮炊きするのは酸欠の危険があるので、調理は隣の炊事棟で行うことにした。
 今回の昼食は今日のためにちょっと贅沢して購入したレガー食品のトマトリゾットだ。
 調理を終え、炊事道具一式を持ってツエルトに戻った僕は、ここでようやく大事に温存しておいたレインウェアを着込んだ。
 さらにアルファ米を蒸らしてあるコッヘルをタオルに包んで懐に入れる。
 「ふ~、何とかなったなあ・・・」
 すでに外はかなり冷え込んできているが、ツエルトの中は思ったより暖かい。
 今回、使用しているファイントラックのツエルトはそれなりに透湿性もあるので、カメラのレンズ類はさすがに曇るが、内壁に水滴がべっとりと付着するような激しい結露はみられなかった。
 食事を終えると、ゴアテックスのシュラフカバーを出して中に篭もった。
 寒さはあまり感じない。
 「これは充分使えるなあ・・・」
 快適とは程遠い環境ではあるが、この調子なら命までとられることはなさそうだ。
 さて、時刻は16時30分、ビバーク開始から約2時間が経過した。
 この間、バナナチップスを酒肴にバーボンのお湯割りを飲んでみたり、MP3プレーヤーの音楽を聴いてみたりしたが、さすがに暇を持て余してきた。
 雨さえ降っていなければ、ツエルトの外に出て夜の散歩を楽しんだり、法華院にビールを買いに走ったり、炊事棟の竈で焚き火をして遊んだりと、いろいろと時間も潰す方法も考えつくのだが・・・。
 「う~ん、暇だ・・・」
 時間は早いが、昨夜はあまり睡眠をとっていないので、この際眠ることにして横になって目を閉じた。
 視界が閉ざされると、その分、他の感覚が鋭敏になる。
 「冷たい・・・」
 地面に接した背中が少しずつ冷たくなっていくのがわかる。
 何度か寝返りを打って地面に接している部分を変えてみたが、5分以上同じ体勢を維持することは難しかった。
 冷えやすい足元はザックを下に敷いているので大丈夫だったが、上半身の冷えは防ぎようがない。
 今回の演習、シュラフもないがマットもない(^^;
 ツエルトの底面には毛布10枚分の保温力を持つといわれるMPIのオールウェザーブランケットを2つ折にして敷いていたが、ペラペラのアルミ蒸着シートごときでは地面からの冷えを遮断することなどできはしなかった。
 「こ、こいつは眠れん・・・」
 手持ちの衣類は全て着込んでいるし、布に類するものの中で唯一身に着けていない1枚のハンドタオルはトイレットペーパーと一緒にスタッフバックの中に入れられ、枕の代わりとなっている。
 上半身の下に敷くためのロフトのある断熱材はもう残っていない。
 「くそ、弾切れか・・・><;;」
 一晩中、座って過ごしてみようかとも考えたが、さすがにそれはしんどそうだ。
 「うーむ、撤収するか・・・」
 僕は素早く次善の策を探った。
 管理休憩舎が他のパーティーに占領されている今、この時間から撤収するなら法華院温泉山荘を頼るほかなさそうだ。
 去年の春、隊長と法華院温泉山荘主催の開山祭を取材に行ったとき(→2008年3月記事)の記憶が頭をよぎった。
 「あそこなら温泉にも入れるし、食堂でテレビを見たり漫画を読んだりできるよなあ・・・」
 そう思うと、もう居ても立っていられなくなった。
 このまま何もすることもなく一人ツエルトの中で座り込んでいる自分と、法華院温泉山荘の中でぬくぬくとしながら山の漫画を読んでいる自分。
 数時間後の自分の姿を想像するとき、圧倒的に後者の方が魅力的だ(^^;
 「よし、撤収しよう!」
 つい先日、別府市の山中で叫んだその言葉を、僕はここでも声に出して宣言した(最近、撤収多いよなあ・・・w
 もう、日暮れまで時間がない。
 僕は再戦を心に誓いつつ、速攻で撤収準備を始めた。
 17時18分、あたりがすっかり暗くなった頃、撤収準備完了。
 そのまま、法華院温泉山荘に向けて撤収を開始した。
 今回の演習では地面からの冷えと温泉の誘惑に抗えずに撤収を余儀なくされたが、そんな悠長なことを言っていられないような本当の緊急時、ツエルトとシュラフカバーがあれば一晩くらい何とかしのぎきれるかも知れないと感じた。
 ロフトのある防寒着がもう1着か、座布団くらいの大きさの折りたたみのマットがあれば横になって休むことだって可能だったと思う。(注4)
 17時34分、法華院温泉山荘に到着。
 第1回目のくじゅう冬季ビバーク演習を終了した。
  • 注1)この記事を書いている現在(第2回冬季ビバーク演習後)では、日帰りの山行でも着替えは必要であるという考えに変わっていますが、2009年12月の時点では着替えなんていらねーよという甘い認識を持っていました(^^;
  • 注2)ツエルト:緊急避難用の簡易テント。折りたたむと350mlのビールの缶ほどの大きさになり、重量も300g程度しかない。もちろん、保温性、耐風性、居住性などの性能面では通常のテントよりはるかに劣る。
  • 注3)ツエルトの底面の大きさより縦横10センチ程度短いサイズにカットしたブルーシートの4隅に穴を開けて7ミリのハトメを打ったもの。ツエルトの側面から流れ落ちた雨が流れ込むのを防ぐため、グランドシートは必ず少し小さめに作る必要がある。
  • 注4)この認識も現在ではかなり甘いと思いますが、少なくともこの時点ではそう感じていました(^^;
(文・山岡隊員 、写真及び写真説明・山岡隊員)
坊ガツルキャンプ場 雨を避けて、炊事棟へ避難 ツエルト設営を開始する
坊ガツルキャンプ場 (14:17)
・・・テント泊してる人、誰もおらんw
雨を避けて、炊事棟へ避難。
しかし、雨は容赦なく降りこんでくる。
ツエルト設営を開始する (14:23)
まずは石ころを排除して整地を行う。
ツエルト設置 雨に濡れた荷物をツエルト内へ搬入 明るいうちに温かい食事をとることに
そして、ツエルト設置 (14:45)
・・・手際が悪く、時間かかりすぎw
雨に濡れた荷物をツエルト内へ搬入。
もう、ぐしゃぐしゃである(汗
明るいうちに温かい食事をとることに。
安全のため、隣の炊事棟で調理する。
アルファ米を蒸らしている間に、濡らさずにとっておいたレインウェアを着込む とりあえず、昼食タイム 真昼間から飲むことに
アルファ米を蒸らしている間に、濡らさずにとっておいたレインウェアを着込む。 とりあえず、昼食タイム。
トマトリゾット・・・あんまりうまくないw
飯を食ったらすることがなくなる(汗
こうなったら、真昼間から飲むことに(ぉ
地面からの冷え対策にシュラフカバーの足元にザックを敷く リベンジを心に決め、撤収を開始する 撤収準備完了
地面からの冷え対策にシュラフカバーの足元にザックを敷く。耐えるしかない。 ↑耐えられなかった人(^^;  (16:52)
リベンジを心に決め、撤収を開始する。
撤収準備完了 (17:18)
背中のスタッフバックは濡れたツエルト。
気温は約4℃まで下がっていた すっかり暗くなった坊ガツル 法華院温泉山荘に到着
記録用に持ってきた寒暖計。
気温は約4℃まで下がっていた。
すっかり暗くなった坊ガツル (17:24)
遠くに法華院温泉山荘の灯りが見える。
法華院温泉山荘に到着 (17:34)
さて、部屋は空いているだろうか?(^^;
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■ファイントラック(finetrack) ツエルトII■
2~3人用のツエルト。本来非常用のアイテムだが、透湿性を持つ素材を全面に使っているので居住性能が高く積極的にテント代わりに使っていきたいモデル。また、テンションのかかる部分にはダイニーマテープによる補強がされているので強度も十分。重量はわずかに340gと超軽量だ。

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■アライテント スティックペグ■
アルミ製のシンプルなペグ。1本10gと非常に軽量ながら、十分な剛性を持っている。らんぼ~流はツエルト用のペグとして、常に数本持ち歩いている。

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らんぼ~流に占拠された法華院温泉山荘の19号室。
■1日目 [その3]
法華院温泉山荘

 17時40分、法華院温泉山荘の門を叩いた僕は早速フロントでチェックインの手続きをした。
 ―― 個室は満員かも知れないが、前回泊まった大部屋なら空いているだろう。
 そう思って大部屋を希望すると、この時期、大部屋は営業していないとのこと。
 「それなら納屋でもいいのだが・・・」と、お約束のセリフを切り出そうとしたら、普通に個室が空いていた(汗
 もちろん、即決でチェックイン(^^
 料金は食事なしの素泊まりで税込み5500円であった。
 
 フロントで渡されたシューズトレイに登山靴を入れて指定された部屋に行くと、中にはすでに一組の布団が置かれていた。
 さすがは法華院、仕事が早い(^^
 部屋の中は4畳半ほどのスペースだ。
 「こいつはちょっと充分すぎるな・・・」
 今までの環境を考えると、一人で使うのがもったいなく感じてしまうほどだ。
 廊下には一定間隔でストーブが並んでいるが、部屋の中は暖房はまったくされていない。
 床が異常に冷たいので持っていたアルミ蒸着のブランケットを敷き、さらにその上に毛布をかぶせた。
 人心地ついたので、壁のフックに付属のプラ製チェーンと手持ちの張り綱を掛けて、濡れた装備を乾かし始めた。
 昔から身の回りに登山用の装備があれば、落ち着く性分のらんぼ~流。
 ほとんど自室のような感覚だ(汗
 装備のメンテを終え、一風呂浴びてこようと浴場のある本館に向かうと食堂で何やらイベントが行われていた。
 法華院温泉山荘では年間を通じていろいろと催し物が開催されるが、この日もちょうど12月恒例のパウダースノーコンサートが行われていた。
 出演はクー・ネル・ダスという地元のバンドらしい。
 まあ、これも何かの縁だ。
 風呂は後にしてコンサートを鑑賞することにし、自販機でビールを購入。
 「やっぱり、あそこで撤収してよかったよなあ・・・」
 エビスビールのリングプルを開けながら、僕はしみじみとそう思った。
 コンサートの開演は19時ちょうど。
 持参した非常食と素朴な演奏を酒肴にしつつ、山荘の夜を心行くまで楽しむらんぼ~流であった。

(文・山岡隊員 、写真及び写真説明・山岡隊員)
法華院温泉山荘に投宿 らんぼ~流の部屋は1階の19号室 廊下には一定間隔でストーブが並ぶ
法華院温泉山荘に投宿 (17:40)
個室素泊まりで税込み5500円。
らんぼ~流の部屋は1階の19号室。
すでに布団と毛布が用意されていた。
廊下には一定間隔でストーブが並ぶ。
反対に部屋の中には暖房器具はない。
我が物顔で自室のように扱うわたくし 当日はちょうどパウダースノーコンサートというイベントが行われていた 装備のメンテを終え、食堂に行ってみるとすでにリハーサルが始まっていた
我が物顔で自室のように扱うわたくし。
雨に濡れた装備を干しまくるw
ちなみに当日はちょうどパウダースノーコンサートというイベントが行われていた。 装備のメンテを終え、食堂に行ってみるとすでにリハーサルが始まっていた。
速攻でビールの自販機に走り、コンサート鑑賞の用意をする コンサートが始まった 第1ステージの最後は山荘主人の弘蔵氏の歌で締めくくられた
速攻でビールの自販機に走り、コンサート鑑賞の用意をする(^^; コンサートが始まった (19:00)
出演はクー・ネル・ダスというバンドだ。
第1ステージの最後は山荘主人の弘蔵氏の歌で締めくくられた。
歌詞はステージの隣にプロジェクターで投影されている 第2ステージ開演 歌を聴きながら、コミックを読む
ちなみに歌詞はステージの隣にプロジェクターで投影されている。 第2ステージ開演 (20:00)
お色直しもしていますw
歌を聴きながら、コミックを読む。
この後、温泉に入って就寝 (23:00)
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■サーモス(THERMOS) 山専ステンレスボトル 0.5L■
本体の体積の割に内容量の少ない保温ボトルだが、冬山では非常に重宝するアイテムだ。特にこの製品は一般の保温ボトルよりも軽量で保温性能が高い。また、内栓がシンプルな構造のため、トラブルの心配も少ない。

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■MPI OUTDOOR スポーツマンブランケット■
NASAの開発した多目的シート。10年以上も前の発売当初「毛布12枚分の保温力を持つ」という触れ込みで一世を風靡したサバイバルアイテム。安価な使い捨てのアルミ蒸着シートではなく、テントマットや敷物として何度も繰り返し使える丈夫さを持つ。らんぼ~流は昔からどこの山に行くにもこのブランケットだけは携行している。

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くじゅう連山の盟主、久住山の山頂。
■2日目
法華院温泉山荘~久住山~稲星山~鳴子山~本山登山道~沢水

 翌朝、6時30分に目覚めた僕は手早く洗面を済ませた後、コンロを使うのが許されている談話室(注1)でカロリーメイトとホットコーヒーの簡単な朝食をとった。
 食事の後、昨夜、部屋干ししていたレインウェアやツエルトなどをバックパックに詰め込み、申し訳程度に部屋の清掃をしておいた。
 8時15分、チェックアウト。
 そのまま、山荘の裏手にまわって、北千里浜を目指す。
 昨日は鉾立峠を経由して登ってきたが、復路は稲星越から本山登山道を使って沢水に戻るつもりなのだ。
 誰もいない北千里浜を通り抜け、9時42分、久住分れに到着。
 牧ノ戸から久住山に至るルートは九州で最もメジャーな登山道なだけに、さすがにここには人がいるw
 今回の山行の主目的であるビバーク演習は昨日不本意ながらも果たしたので、あとはこのまま駐車場を目指すだけなのだが、さすがにこの時間から下山するのはもったいない。
 「さて、どこに行くかなあ・・・」
 このまま中岳の方向に歩いて、改修が終わったという池の小屋を見るのもよいし、新しいソールに張り替えた相棒に久住本峰の山頂を踏ませてやるのも一興だ。
 あれこれ悩みながら歩いていたが、自然、足は久住本峰の方へ引き寄せられた。
 10時13分、久住山山頂に到着。
 せっかくなので相棒のザンバランを山頂の道標の隣に置いて記念撮影をしてやった(^^;
 その後、天候が怪しくなってきたので、予定を早めて、稲星越へ移動する。
 稲星越へはかつて一度しか行ったことがない。
 できれば、ガスで完全に視界が利かなくなる前に辿りついておきたい。
 10時52分、稲星山山頂を通過。
 11時6分、無事、稲星越に到着。
 ここまで来てしまえば、沢水への下りは一本道となる。
 まだ時間があるので、未踏峰である鳴子山に寄り道することにした。
 11時46分、鳴子山山頂に到着。
 モノの本によると、ここから眺めるくじゅうの主たる山々は一見の価値があるそうなのだが、この日はガスで完全に視界が閉ざされていた。
 いつか、再戦することにしよう(^^;
 12時15分、再度、稲星越を通過。
 今度はそのまま本山登山道を沢水へと下る。
 途中、ガスが晴れたので、昼食タイム。
 登山口駐車場へ下山したのは、14時54分であった。
  • 注1)山荘の中で宿泊客が自由にコンロを使ってよいのは、この談話室と個室棟奥にある自炊場の2ヶ所だけである。
(文・山岡隊員 、写真及び写真説明・山岡隊員)
チェックアウトして行動開始 今回は本山登山道を使って下山する まずは北千里浜へ向かって移動する
起床後、自炊で朝食 (6:30)
8時15分、チェックアウトして行動開始。
法華院温泉山荘の裏にまわる。
今回は本山登山道を使って下山する。
まずは北千里浜へ向かって移動する。
雲は多いが、天気は何とかもちそうだ。
北千里浜に到着 すがもり越への分岐 久住分れへの道
北千里浜に到着 (8:50)
この時間にここを通るのは初めてだ。
すがもり越への分岐 (8:59)
無視して、久住分れを目指す。
久住分れへの道。一度、硫黄山の噴煙が下降してきてちょっと焦った(^^;
久住分れ 悩んだ結果、退院してきた相棒をくじゅう山系盟主の山頂へ連れて来ることに 久住山山頂
久住分れ (9:42)
さて、これからどうするか・・・。
悩んだ結果、退院してきた相棒をくじゅう山系盟主の山頂へ連れて来ることに。 久住山山頂 (10:13)
ザック手前は相棒のザンバラン(^^b
ガスが出てきたので、念のため、早めに稲星越へ向かうことへする 稲星山山頂 稲星越への道標
ガスが出てきたので、念のため、早めに稲星越へ向かうことへする。 稲星山山頂 (10:52)
そのまま稲星越へ下る。
稲星越への道標 (10:58)
ガスの濃い中、心強い道しるべである。
稲星越に到着 せっかくなので、未踏峰の鳴子山に寄り道することに 登山道から見た鳴子山
稲星越に到着 (11:06)
これでもう一安心だ(^^
せっかくなので、未踏峰の鳴子山に寄り道することに(^^; 登山道から見た鳴子山(写真左)。
手前は特に名前がついていない岩峰。
登山道から奇妙な湿原が見える 鳴子山手前にある岩峰には風雨を避けることができそうな岩屋がいくつかある 鳴子山山頂
登山道から奇妙な湿原が見える。
あれはなんだろう・・・?
鳴子山手前にある岩峰には風雨を避けることができそうな岩屋がいくつかある。 鳴子山山頂 (11:46)
この日はガスで何も見えなかった。
稲星越に戻る 侵食の進んだ本山登山道 ようやくガスを抜けた
稲星越に戻る (12:15)
このまま本山登山道を下る。
侵食の進んだ本山登山道。
木段が露出して、かなり歩きにくい。
ようやくガスを抜けた。
下界の天気は普通に薄曇りのようだ。
気分がよいので、ここで昼食 崩壊地に出る 急坂の連続を下り終えると、里山らしい歩きやすい道になる
気分がよいので、ここで昼食 (12:32)
昼食後、再起動時刻は13時5分。
崩壊地に出る (13:27)
今年の夏に崩れたものだろう。
急坂の連続を下り終えると、里山らしい歩きやすい道になる。
水場様 涸れ沢を横断する 登山道崩壊の注意書き
水場様 (14:19)
以前より水量が減ったような気がする。
涸れ沢を横断する (14:30)
ここは迷いやすいポイントだろう。
登山道崩壊の注意書き。
特に鳴子山への直登を諌めている。
林道を横断し、再び山道に 今度こそ、林道に出る 本山登山口駐車場に到着
林道を横断し、再び山道に (14:44)
テープを見落とさないようにしたい。
今度こそ、林道に出る (14:49)
あとは林道を下るだけだ。
本山登山口駐車場に到着 (14:54)
当初の目的は果たせなかったが、とても充実した山行であった。
-らんぼ~流イチ押しの厳選アイテム-
■PRIMUS(プリムス) P-114ナノストーブ■
登山用ストーブの老舗プリムスの誇る世界最小クラスのガスバーナー。超小型ながら火力は必要十分な2300kcal/h、重量はわずかに64グラム(圧電点火装置部含む)という優れもの。中央のバーナーヘッドから垂直に吹き出る炎はソロ用クッカーを使った調理に最適だ。惜しむらくは圧電点火装置の着火性能がイマイチなので、別途ライターを必携しておくこと。
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icon -らんぼ~流イチ押しの厳選アイテム-
■スノーピーク(snow peak) ソロセット極チタン■
パッキングしやすい円筒形の1人用クッカー。収納時は内部に110gのガスカートリッジ2本を入れておくことができる。重量155gと超軽量のクッカーだが、チタンは熱伝導率が低いため内容物全体に熱が回りにくく、加熱部だけが焦げ付きやすいので、ラーメンなど汁物を中心としたメニューとなろう。

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大平山(扇山)・内山(登山口~大平山~内山~大平山~登山口 2009.12.20)
濃いガスに包まれた内山山頂。  ―― リベンジの刻(とき)がやってきた。
 2009年も暮れが押し迫った12月の第3週、九州はこの時期にしては珍しい強烈な寒波に見舞われていた。
 「充分だ、リベンジするには充分だ・・・」
 真っ白に雪をかぶった由布・鶴見の二峰を見つめながら、僕は一人ほくそ笑んでいた。
 リベンジの対象は、もちろん、先月末に時間切れのため撤退という辛酸を舐めさせられた別府市の内山である。
 しかし、紛れもなく敗退はしたものの、内山そのものはそれほど難易度の高い山ではない。時間的な余裕と月初めに退院してきた履き慣れたザンバランの山靴があれば、よほど悪い条件が重ならない限り絶対にクリアできる自信がある。
 しかし ――
 「それでは弱いものいじめじゃないか」
 僕はひそかにそう思っていた。
 前回の山行ではルートの9割以上を踏破している。
 だから、次回は道迷いの不安もないし、初めからペース配分もわかっている。
 ここは何かハンディみたいなものがなければ、リベンジを果たしたところで素直に喜べない。
 そう思っていたところにこの天候である。
 由布・鶴見の両峰があれだけ真っ白く染まっているなら、当然内山もかなり雪をかぶっているに違いない。
 雪をまとえば、それなりに歯ごたえも出てこよう。
 この好機を逸しては、正々堂々とリベンジの機会が訪れるのはいつになるかわからない。
 このまま寒い日が続いてくれ ――
 僕はそう願いながら、週末を待った。
 
 12月20日日曜日、待ちに待ったリベンジの日がやってきた。
 その日、僕はこの前の失敗を教訓にして8時10分に自宅を出た。
 前回からすれば、実に2時間近く早めに出発したことになる。
 8時50分、陸上自衛隊別府駐屯地そばの遊歩道入口に到着。
 前回は別府駐屯地の創立記念行事が行われていたので駐屯地北側の桜の園の方から登ったが、今回は手持ちのガイドブックに書かれているこちらのコースからアプローチをかける。
 駐車スペースに車を停め、外に出てみると、思った以上に気温が低い。
 わずかに雪もちらついている。
 「充分だ、リベンジするには充分だ・・・」
 僕は家から着てきていたモンベルのダウンジャケットを脱ぐと、ザックからゴアテックスのレインウェアを出して着込んだ。
 脱いだダウンジャケットはスタッフサックに入れて、ザックの空いたスペースに詰め込んでおく。
 雪のない山行なら余分の防寒具など持たない主義だが、おそらく今回は休憩時に必要になってくるだろう。
 らんぼ~流にしては入念に準備を整えて、9時20分に行軍開始。
 遊歩道をしばらく進むと、遊歩道の案内看板の下に大平山への方向を示すオレンジ色の道標がある。
 指示に従って右に曲がり、スズタケを掻き分けながら1~2分進むと大平山の防火帯に出た。
 ここから先は前回のルートと同じだ。
 手がかりのシンプルな急坂が大平山山頂まで続く。
 防火帯に出てしばらくすると、地面はすっかり雪で覆われるようになった。
 「うーん、こいつは想像以上に時間をロスするなあ・・・」
 坂道に積もった雪は急角度の傾斜と相まって、とても滑りやすく、しまいには思うように進めなくなった。
 らんぼ~流のアイゼンは重くて体力を消耗しやすい時代遅れのスチール製である。
 予定では急登と痩せ尾根が連続する内山の核心部で使うために持ってきたものなのだが、このままでは埒が明かない。
 予定よりかなり早くなるが、ここで装着だ。
 アイゼンを履くと、このような道では足元にあまり気を使わなくてよくなる。
 結果、遅々として進まなかったペースが一気に上がり、10時49分に大平山山頂に到着。
 写真撮影を兼ねて、10分ほど小休止し、次にリベンジの対象である内山に向かう。
 比較的楽な前半戦を終え、11時55分に『別府市有林』と書かれた石柱を通過。
 ここから先は次第に道が険しくなる。
 それに加えて、今回はさらに雪も深くなっていった。
 「うおっ、こいつは面白いなあ・・・」
 吹き溜まりになっている部分には膝上まで雪が深くなっている場所もある。
 雪山など滅多にお目にかかれない地元密着型の山屋は、この程度の雪でもう大はしゃぎだ(^^;
 13時20分、前回、撤収を決断したツクシシャクナゲの群落に到着。
 ここから先は初めて歩く道となる。
 マーカーに注意しつつ10分ほど進むと、塚原から登ってくる縦走路との合流地点に出た。
 合流地点には1本の道標が立っている。
 道標に従って南に下ると、5分も歩かないうちに林を抜け、視界が開けた。
 ガスで少し離れた場所は何も見えないが、目に入る範囲は一面ススキの原っぱになっている。
 「お~、ここはなかなか展望がよさそうだなあ」
 気候の穏やかな時期ならば、とても居心地のよい場所だろう。
 人の声が聞こえるなと思っていたら、ガスの向こうから3人組のパーティーが現れた。
 今日の山行で人に出会うのは初めてだ。
 13時37分、内山山頂に到着。
 「よっしゃあ~、着いたぁ~」
 らんぼ~流の登山は基本的に山中に身を置くこと自体が目的であって、登頂そのものには特別強い執着は持っていないと思っていたのだが、このときは自分でも不思議なくらいに嬉しさがこみあげてきた。
 やはりと言うか何と言うか、これでも山屋の端くれなのだろう(^^;
 展望は利かなかったが、山頂の写真をこれでもかと撮影した後、登らせてもらった記念に山頂でカップヌードルを食することにした。
 先週の冬季ビバーク演習でも使ったアルミ蒸着の断熱シートを8つに折り畳んだまま尻の下に敷くとさすがに雪の冷たさもほとんど伝わってこない。
 ガスストーブに火をつけ、湯が沸騰するのを待つ間、持ってきていたダウンジャケットをレインウェアの下に着込んだ。
 次にカップヌードルの紙蓋を剥がし、カメラを三脚にセットして、食事風景を撮影するための準備をする。
 時刻はまだ14時10分前。
 前回は肉刺に苦しんだが、今日は足の調子も悪くない。
 何もかもが、予定通りに運んでいる。
 「ま、楽勝だったな・・・」
 そう呟く僕の聴覚が、突然異常を捉えた。
 ガスストーブの音がどんどん小さくなっていくのだ。
 「ま、まさか、燃料切れか!?」
 持ってきたのは確かに使いかけのガスボンベだったが、この程度でなくなるわけがない。
 実際に確かめてみると、まだ半分近く残っているようだ。
 「普通の寒冷地用ボンベじゃ通用しないということか・・・」
 プリムスのガスボンベには使用環境に応じてガスの配合の異なる製品が3種類存在する。
 らんぼ~流はいつもその中で一番汎用性の高い寒冷地用のTガスを愛用しているのだが、零度をはるかに下回る吹きっさらしの雪山では役不足だったようだ。
 「う~む・・・」
 さすがに一度はらんぼ~流を退けた山である。
 そう簡単に温かい昼飯を食わせてはくれないようだ(汗
 「くそ、仕方がないな・・・」
 僕は開封していたカップヌードルの紙蓋をテーピングテープで再度封印した後、コッヘルの中のぬるま湯でインスタントのカフェオレを作り、非常食に持ってきたバランスアップと一緒に少し淋しい昼食を済ませた(^^;
 14時16分、再起動。
 16時7分、大平山山頂を通過。
 久しぶりの雪山に名残を惜しみつつ、17時5分、駐車場に下山。
 最高のシチュエーションの中でリベンジを果たさせてくれた郷土の山に感謝の念を抱きながら家路についた。
  • -今回の教訓-
  • 1.冬の山には雪があろうがなかろうが、Uガスを装備すること。
  • 2.氷点下の山中で汗で湿った手袋を脱ぐ場合は必ず懐にしまうなどして手袋の内側が凍らないように工夫すること。
  • 3.アイゼンは早めに履いたほうが結果的に体力の消耗を抑えることができる場合が多い。
  • 4.あと、カップヌードルの蓋は湯が沸くまで決して開封しないこと(^^;
(文・山岡隊員 、写真及び写真説明・山岡隊員)
陸上自衛隊別府駐屯地前 別府一周遊歩道ルートの案内板 道路沿いの空き地に駐車
陸上自衛隊別府駐屯地前 (8:50)
駐屯地の南側に遊歩道の入口がある。
別府一周遊歩道ルートの案内板。
前の写真の赤丸の部分に立っている。
道路沿いの空き地に駐車 (8:52)
さて、リベンジ開始だ。
遊歩道入口 立入禁止の看板 境川砂防ダムの堰堤
遊歩道入口 (9:20)
左側には立入禁止の看板があるが・・・。
立入禁止の看板。
しかし、遊歩道の利用者はよいらしいw
境川砂防ダムの堰堤 (9:30)
右に石段があるが、無視して先を急ぐ。
大平山登山口 防火帯へ出る 防火帯に沿ってひたすら登る
大平山登山口 (9:37)
遊歩道の案内板の下部に道標がある。
防火帯へ出る (9:39)
単調な急登の始まりだ。
防火帯に沿ってひたすら登る。わずかに高度を上げただけで雪が積もっていた。
予定を早めて、アイゼンを装着 大平山山頂 大平山山頂より別府市街地を望む
雪が滑って思うように進めない。
予定を早めて、アイゼンを装着。
大平山山頂 (10:49)
とても展望のよい山頂だ。
大平山山頂より別府市街地を望む。
素晴らしい眺めである。
内山へ向けて行軍開始 明礬分岐 「別府市有林」の石柱
次に、内山へ向けて行軍開始 (10:57)
ここからが本番である。
明礬分岐 (11:04)
このへんの雪の深さはまだ足首くらい。
「別府市有林」の石柱 (11:55)
ここを境に一気に雪が深くなっていった。
登山道から見た鶴見岳 雪を大量にかぶったアセビ 先に進むにつれ、霧氷が濃くなっていく
登山道から見た鶴見岳。
山頂は完全に雪雲の中だ。
雪を大量にかぶったアセビ。
これで枯れないのだから大したものだ。
先に進むにつれ、霧氷が濃くなっていく。
これだから冬山は面白い。
前回の撤収地点に到着 氷づけになったマーカー 白い珊瑚のような霧氷
前回の撤収地点に到着 (13:20)
撤退する勇気をくれたシャクナゲだ。
氷づけになったマーカー。
見落とさないように注意して進む。
白い珊瑚のような霧氷。
何とも美しい世界だ。
縦走路との分岐 縦走路の様子 林を抜け、ススキの原へ出る
縦走路との分岐 (13:30)
北に下ると、塚原温泉へ出る。
縦走路の様子。
歩きやすい尾根道だ。
林を抜け、ススキの原へ出る (13:33)
山頂はもうすぐそこだ。
山頂が見えてきた 山頂のすぐそばにある道標 内山山頂に到着
山頂が見えてきた。
ガスで展望が利かないのが残念だ。
山頂のすぐそばにある道標。
このまま南に進むと、鶴見岳に至る。
内山山頂に到着 (13:37)
久しぶりに嬉しさがこみあげた。
山頂のそばには三角点も リベンジ達成を祝して、山頂でカップヌードルを食することに・・・ ・・・いつまでたっても、湯が沸かない
山頂のそばには三角点も。
雪で埋もれていて探すのに苦労したw
リベンジ達成を祝して、山頂でカップヌードルを食することに・・・(^^v え~と、食したいのですが・・・(汗
・・・いつまでたっても、湯が沸かない。
使いかけのTガスでは歯が立たないことが判明 仕方がないので、ぬるいカフェオレと行動食で昼食を済ませる 再び分岐点に出会う
使いかけのTガスでは歯が立たないことが判明。カップヌードルはお持ち帰り(汗 仕方がないので、ぬるいカフェオレと行動食で昼食を済ませる。 (~14:16) 再起動後、縦走路分岐へ (14:19)
さて、戻るとしようか・・・。
「別府市有林」の石柱通過 明礬分岐通過 再び、大平山山頂に到着
「別府市有林」の石柱通過 (15:27)
今回は日没までに下山できそうだ。
明礬分岐通過 (16:00)
ここまで来れば、もう一安心(^^
再び、大平山山頂に到着 (16:07)
あとは滑る急坂をクリアするだけである。
リベンジを果たしたザンバラン 防火帯から遊歩道へ戻る 駐車場に到着
リベンジを果たしたザンバラン。
アイゼンベルトは氷付け状態(^^;
防火帯から遊歩道へ戻る (16:44)
赤いテープを見逃さないように。
駐車場に到着 (17:05)
久しぶりの雪中登山でリベンジを果たすことができた(^^
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