らんぼ~流 山屋の視点
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丹助岳・矢筈岳 (丹助広場~丹助岳-林道-登山口~矢筈岳東峰~西峰 2007.12.16)
矢筈岳登山道から見た丹助岳 「今年最後の山は少し歯ごたえのあるところに行きたいものだのお」
 今回の山行計画は甲斐隊長のそんな言葉で始まった。
 「そうですねえ・・・」僕はうなった。
 近場で歯ごたえがあると言えば、僕の中ではすぐに「大崩山!」という選択肢になってしまうのだが、いろいろなサイトの書き込みを見ると、今夏の台風の影響が未だに色濃く、現在も小積ダキコースの通行が難しいらしい。
 「大崩本峰はまだ無理みたいですけど、その周辺の山なら行けるかも知れませんね」
 そんなこんなで決まった目的地は五葉岳と鹿納山。
 後から思えば、間違いはすでにここから始まっていた。

 12月16日、アタック当日。
 奥深い大崩山系の山に行くという気構えもあって、いつもより少し早めに大分市街を脱出。
 前回の傾山登山に引き続き、見立渓谷沿いの県道6号(宇目-日之影線)をひた走る。
 しばらくすると、左手に仲村橋が見えてくる。橋のたもとに『五葉・兜巾岳入口』と書かれた案内標識があるのが目印だ。
 「日隠林道・・・ここですね。たしか、最後のほうは悪路になるはずですよ」
 僕はそう言うと、案内標識を車の窓越しにカメラに収めた。
 「ふっ、任せておきなさい」
 林道走破に人生の108分の1を賭けている隊長は力強く頷くと、4WDへの切替レバーを握り締め、そして、その数分後、「はあ?」と気の抜けたような声を出した。
 道路を横切る形で『車両通行禁止』と書かれた札が目の前に現れたのだ。
 「ううむ・・・」
 登山口まで車であと40分。
 ここから歩くとなると、夕刻までの下山はかなり厳しい。2人とも、常時、ヘッドランプは携帯しているものの、この季節、ほとんど初見の山での夜間行軍は出来れば避けたいところだ。
 話し合った結果、強行突破目的地の変更となった。
 「この近くで探すとなると・・・、丹助・矢筈あたりですか?」
 一度、頓挫した山行計画を立て直すには、存外に気力が必要である。
 すでに気が抜けてしまっている僕たちは近場にある手軽な山で妥協することにした。

 僕たちが知っている限りにおいて、丹助・矢筈岳は頂上直下まで車で行くことができる。
 時間的に余裕ができたので、見立渓谷沿いの「石棚」に寄り道することにした。
 渓流釣りの趣味を持つ隊長は下見のつもりか、いつもより鋭い眼光をたたえて川面を見つめていた。
 一方、僕はこのサイトのプロフィールに使う写真を撮影した。
 ベレッタM92Fカスタム「ソードカトラス」(健全な山屋の方はきっとご存知ないでしょうが・・・^^;)とガーバーのナイフを河原にあった流木と絡めて何枚かシャッターを切る。
 ちなみにナイフはともかく、カトラスの方は今回がおそらく最初で最後のフィールド携行となるだろう。
 「らんぼ~流」とは言うものの、このご時世、普段の山行から銃やナイフを持ち歩いているわけではないのだ(涙

 さて、丹助広場に到着すると、僕たちのほかにもすでに何人か登山客が来ていた。
 「おお~!」
 車を降りた僕たちはいきなり声を上げた。
 広場の見晴らしのよい一角から見下ろした下界の風景はほとんど山頂からのそれに近い。急な目的地変更で十分な下調べをしてなかった僕たちの頭の中には、「丹助広場=ほぼ頂上」というイメージが刷り込まれている。それを裏付けるかような見事な展望であった。
 「これは・・・登山靴、履いていいのか?」
 隊長が笑いながら言った。
 「そうですね、車内に荷物をデポしていきますか!」
 僕も調子を合わせて、山屋にあるまじきことを言い放つ。
 ・・・馬鹿であるw
 気分はほとんど散歩レベルであったが、それでも一応山に入るのだからと、山屋の正装に身を包んで出発。
 もちろん、バックパックには数日分の非常食(そろそろ賞味期限切れですが)やレインギア、ヘッドランプなどの装備を詰め込んである。
 歩き始めて、数分で一度林道と合流するが、すぐに登山道に戻る。あとは案内標示に注意して歩けば山頂だ。
 山頂からの眺めを堪能して、再び丹助広場に戻った僕たちは次に矢筈岳を目指した。
 丹助広場からの遊歩道経由でも矢筈岳登山口には行けるはずなのだが、事前にルートを調べてなかったので、丹助林道を車で移動することにした。あーでもないこーでもないとしばらく林道を迷走したあと、昼前には矢筈岳登山口の駐車場に到着。
 「・・・あ、あれは何ですか!?」
 車を降りた僕たちは目の前に広がる光景に思わず声をあげた。
 丹助岳同様、お手軽な山という認識だった矢筈岳の姿は当初予定していた鹿納山と見まごうばかりの岩峰だったのだ。
 「あ、あれは・・・行けるのか?」
 「きっと楽な巻き道があるんでしょう・・・たぶん(^^;」
 なだらかな山肌の中ににょっきりと突き出た奇峰をカメラに収め、フル装備で行軍開始。
 コースの予備知識が皆無だったので出たとこ勝負ということにして歩き始めると、登山口にコースの案内板が出ていた。案内板といっても、日焼けしたベニヤ板によく目を凝らさなければ読み取れないくらいの細く赤い文字で書かれた程度のものだ。それでも予備知識のない僕たちにはとてもありがたいものであった。
 それによると、どうやら目の前に見えている岩峰は矢筈岳の西峰であり、山頂まで登るにはロッククライミングの用意がいるらしい。
 「それじゃ手始めに、簡単そうな東峰に行きますか」
 とりあえず、僕たちはハイキング感覚で登れそうな矢筈岳の東峰を目指すことにした。
 東峰に向かう登山道はいきなり下りで始まった。そして、それが延々と続く。本当に山頂に向かっているのかと不安を覚えた頃、道は大きく右にカーブして少しずつ高度を上げ始めた。やがて、東峰と西峰を繋ぐ尾根に出ると分岐点が現れた。
 「こっちからなら西峰にも登れそうですね」
 昼食を東峰の山頂でとることにした僕たちはそう話し合いながら、予定通り東峰へと歩を進めた。分岐から10分足らずで東峰の山頂に到着。
 山頂からは鹿川渓谷を挟んで去年登った比叡山の姿が雄雄しく見えていた。僕たちはカメラの望遠機能を使って、比叡の登山口や千畳敷を探しながら、比叡山の思い出話に花を咲かせた。
 昼食後、再び分岐に戻った僕たちはそのまま尾根を直進して西峰に挑戦。東側からのルートは登山口から直登するよりは幾分傾斜が緩いとは言うものの、それでも一度足を滑らせれば下まで転がり落ちるのは必至だ。特に雨で岩が濡れているときは避けたほうが無難だろう。
 冷や汗をかきつつ、20分ほど登ると、西峰山頂へ出た。突き出た岩峰だけに視界の半分を樹木に遮られていた東峰と違って360度展望が利く。
 ここからだと、午前中登った丹助岳の全容がよくわかる。
 「結構、立派な山だったんですねえ・・・」
 「ここはいいのお~」隊長もご満悦の様子だ。

 さて、問題はここからである。
  ―― 往路を戻るのも芸がない。
 我が隊は隊長判断により、西側のルートから登山口まで最短距離を戻ることにした。
 「やばそうだったら、いさぎよく戻りましょうね」
 そう、事前に確認してからの行動だった。
 しかし、やばいと思ったときはもう手遅れであるということを僕たちは身をもって知ることになる。
 下り続けてしばらくすると、本当に90度近い岩壁を下らなくてはならないはめになっていた。
 「やばい、やばいっす・・・このロープ、半分擦り切れてます(><;」
 ルート上に設置されているロープはどう見ても普通のホームセンターで売ってあるような工事用のもので、しかも紫外線で繊維がぼろぼろになっていた。体重をかけたら間違いなく切れそうだ。
 「戻るか?」隊長が叫んだ。
 「・・・戻れません(汗」
 来た道を戻るには身体の向きを変える必要がある。しかし、足場の関係で、向きを変えようとすると背中のザックが岩壁に押される形になるのだ。もはや進むしか道は残されていなかった。
 僕たちは意を決して、ロープに頼らず足を踏み出そうとした。距離にして、僅か1歩半先に次の足場がある。しかし、落差があるので下手に勢いがつくとそのまま下まで落ちそうだ。なかなか足が動いてくれない。
 「やばいなあ・・・これはひさびさにやばいなあ・・・w」
 決して笑えない状況なのだが、こういうとき何故か人間は笑えてくるものらしい。
 僕たちは互いにホールドの場所を指示しあい、何度も逡巡しながら次の一歩を踏み出し、何とか難所をクリアすることができた。
 垂直に近い岩壁を降りきると、あとは普通の山道だ。
 「何とか生きて戻れそうですね・・・」
 そう言いながら、僕は今になってようやく足が震えだすのを覚えていた。
 岩峰のたもとで一息入れていると、まわりから今までに聴いたこともないような鳥のさえずりが聞こえてきた。それは、僕たちを包み込むようにあらゆる方向から聞こえてくる。
 「なんか、すごいですね。この鳥の声は・・・」
 「そうだなあ・・・」
 僕たちは口々にそのさえずりを讃えた。
 そして、さきほどの無謀な行動を今更のように深く反省しあったのだった。
(文・山岡隊員 、写真及び写真説明・山岡隊員)
見立渓谷案内図 仲村橋を渡り、日隠林道へ入る 車両通行止の標識
前回同様、見立渓谷沿いの県道6号を走る。今回の目標は五葉岳と鹿納山。 仲村橋を渡り、日隠林道へ (8:00)
林道走破を得意とする隊長の腕が・・・
鳴らない(汗
五葉・鹿納縦走、始まる前に終了(orz
渓谷沿いを走りながら、作戦会議 見立渓谷・石棚 イメージを撮影
渓谷沿いに停車して、作戦会議。目標を変更して、丹助・矢筈岳に向かうことに。 目標が時間的に余裕のある山に変わったので、見立渓谷・石棚に寄り道(^^ ここで「会員一覧」用のイメージ撮影。ナイフはガーバー社のハーシーハンター。
丹助広場 丹助林道と合流するが、すぐに山道に戻る 山頂への案内標識
丹助広場に到着 (9:45)
写真中央部、管理棟の右側が登山口。
10時ちょうどに登山口を出発。一度、林道と合流するが、すぐに山道に戻る。 山頂への案内標識。山中は自然歩道が入り組んでいるので、見落とさずに。
補助ロープが随所に張られている 丹助岳山頂 矢筈岳登山口
手軽に山頂に立てる山とはいえ、傾斜はきつい。随所に補助ロープがある。 丹助岳山頂 (10:25)
丹助広場への到着は10時50分。
林道を迷走後、登山口着 (11:30)
広場より遊歩道経由で来ることも可。
登山口駐車場から見た矢筈岳西峰 登山口にある道案内 東峰への登山道
登山口駐車場から見た矢筈岳西峰。
い、行けるのか・・・?(汗
登山口にある道案内。写真では見づらいが、細い赤ペンでルートが示してある。 まずは簡単そうな東峰にアタック(^^
出発後は下りの坂道が延々と続く。
登山道沿いにあった可憐な果実 尾根沿いにある分岐点 矢筈岳東峰の中腹から見た西峰(左)と丹助岳(右)
登山道沿いにあった可憐な果実。
紫色が目に鮮やかだ。
尾根沿いにある分岐点 (12:05)
左に進むと東峰、右は西峰に至る。
矢筈岳東峰の中腹から見た西峰(左)と丹助岳(右)。
矢筈岳東峰山頂 東峰山頂から見た比叡山 比叡山の千畳敷
矢筈岳東峰山頂 (12:20)
ここで昼食タイム。出発は13時20分。
東峰山頂から見た比叡山。
写真右がⅠ峰。千畳敷も見える。
比叡山の千畳敷。コンデジの能力の限界に迫る最大ズームで撮影(w
西峰に挑戦 矢筈岳西峰山頂 最短ルートでの下山を選択
尾根沿いに西峰に挑戦。楽な巻き道とはいえ、滑落すれば命はない(^^; 矢筈岳西峰山頂 (13:45)
360度の展望が得られるよい山頂だ。
往路を戻らず、最短ルートでの下山を選択。このあと、大後悔することに(汗
ほぼ垂直の下山道 振り返って見た岩峰 野鳥を撮影
やばい、やばいっすよ、隊長!(><
ロープ、擦り切れてるし・・・(><;;;
垂直に近い下りを何とかクリア。
写真は振り返って見た岩峰。
一息入れて、野鳥を撮影。
生の喜びを実感する我が隊(^^;
のんびりとした道が登山口まで続く 帰りの車道から見た矢筈岳 車道から見た矢筈岳東峰と比叡山
あとはのんびりとした道が登山口まで続く。駐車場には14時25分に到着。 帰りの車道から見た矢筈岳。
写真左が西峰、右が東峰。
写真左が矢筈岳東峰、右が比叡山。
同じ場所から少し右にパンして撮影。
-らんぼ~流イチ押しの厳選アイテム-
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