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大崩山 (上祝子登山口~大崩山荘~袖ダキ~下湧塚 2007.8.10-11)
無残に流された渡渉点の橋 「最終回はやはり拡大版だろう」
 昨年の10月から1年もの間、仕事の関係で山に登り続けてきた。
 今回はそのラストを飾る山行である。そのへんの山でお茶を濁すというわけにはいかない。
 「やっぱり、大崩山に挑戦ですかねえ。前日泊で」
 「そうだな。しかし、山小屋泊に二人というのはちと淋しいのお。・・・誰か、社内の人間を募ってみるか」
 ―― そして、最後の取材登山が始まった。

 その、新品の装備に身を包んだ男は開口一番、奇妙に明るい声で、「赤尾です。甲斐隊長には大変お世話になっております」と言った。
 古国府山友会第三の男、赤尾隊員入隊の瞬間である。
 実を言うと、まだこの時点では古国府山友会は存在していない。古国府山友会は今回の大崩山山行において結成されたのだが、それはまた後述することにして、話を進めよう。
 土曜日のデスクワークを終えた僕たちは夜の9時過ぎに登山口に到着。そのまま歩いて山小屋に向かった。
 夜の登山道をヘッドライトの明かりだけを頼りに30分ほど歩くと、勝手知ったる大崩山荘が見えてきた。
 山荘に着いた僕たちは、ひとまず寝床の準備をして、それから薪を集めるために夜の山中に散った。
 山中泊の楽しみと言えば、焚火とアルコールである。
 夕食は来る途中に三重町にある小料理屋で済ませているので、火を起こした後はひたすら飲むだけだ。
 酒宴の最中、雨が小屋の屋根を叩く音が聞こえてきたが、まあ、僕たちがあれこれ気を揉んだところで天気がよくなるわけでもない。
 すべては明日の朝、考えればよいことだ。

 さて、翌日の朝 ――
 僕たちの頭上に広がる空は事前に得ていた天気予報とはかけはなれた状況を呈していた。
 土砂降りとは言わないまでも、決して小雨とは表現できないほどの雨が降っている。
 「とりあえず、祝子川の様子を見てきます」
 僕は山荘からさほど離れていない場所にある小積ダキコースの徒渉点の状況を見に行った。小積ダキコースは本日の復路に使う予定のルートだが、雨で水量が増えると徒渉点が渡れなくなることがままあるのだ。状況次第ではルートの変更も考えなければならない。
 果たして水量はどうか・・・。

 って、それどころぢゃねえ( ̄□ ̄;)!!

 僕は徒渉点を一目見るなり、山荘へ舞い戻って隊長に事の顛末を報告した。
 「これはひどい・・・」
 去年の11月の取材でここを訪れたことがある甲斐隊長もその惨状を見て絶句した。
 先日の台風の影響だろう、あの美しかった祝子川渓谷の景観が一変していた。
 たった今、土中から掘り出されたばかりのような茶褐色の岩がそこらじゅうに転がっている。
 僕たちはしばらく呆然となりながら、無惨としか表現のしようのない渓谷の状態を見てまわった。
 「これは山の中もどうなっていることか予想がつきませんねえ・・・」
 それでなくとも大崩山は深く険しいところである。下手に登山道が損傷を受けていようものなら、登山どころの話ではない。
 仕方がないので、山荘に戻って、今後の行動を見直すことにした。
 昨夜は気づかなかったが、山荘に備え付けられてある大学ノートには『小積ダキコース通行不可』という情報が残されていた。どうやら坊主岩付近の登山道が崩落しているらしい。記録に付された日付はわずか3日前だ。迂回路が切り開かれている可能性はまずないといってよい。話し合った結果、この悪天候も考慮して、当初予定していた湧塚コース→大崩山頂→小積ダキコースから湧塚コースピストンにルートを変更することになった。
 計画が決まれば、後は行動に移すのみだ。
 まずは朝メシである。この状況では山中でまともに食事がとれそうにないので、この場でできるだけ腹に詰め込んでおかねばならない。
 7時30分、食事を終えて、山荘を出発。
 小雨の中、湧塚コースを進む。
 しばらく歩いていると、湧塚分岐に辿りついた。ここは湧塚コースと三里河原コースとの分岐点に当たる。
 当然、湧塚に続く左の道を選択。すぐにコース中最大の渡渉点に出る。
 ここには頑丈な鋼鉄の橋がかかって・・・。

 ながされとる( ̄□ ̄;)!!

 ・・・たびたび文章が乱れて申し訳ない。
 申し訳ないが、それくらい動揺したのだ。
 僕が大崩山に初めて来た時、ここには水面から3メートルほどの高さのところに丸太が渡され、その1メートルほど上に一本のワイヤーが手がかりとして張られていただけだった。その丸太はとても滑りやすく、通るたびに怖い思いをしたことを覚えている。その後、何度か丸太は新調され、その表面に滑り止めの金網が打ちつけられたりして、少しずつ橋は改善されていった。そして、2年前にここを訪れたときには、頑丈な鉄パイプを2本並べた上に道路の側溝を塞げるような堅牢な金網の板を設置した、何とも立派な橋が渡されていた。往年の大崩山を知る者にとっては、山屋の聖地が少しずつ俗化されていくような気がして、少なからず淋しい思いもしたものだが、より安全な山行ができるようになるのはやはり喜ぶべきことなのだろう。
 しかし、その、頑強な造りの橋が完全に破壊されていた。上流から流されてきた大きな岩の直撃でも食らったのだろう。鉄パイプを岩に固定していた分厚い鉄の板がまるで飴のようにぐにゃりと折り曲げられていた。
 「こりゃあ・・・ひどいなあ」
 まだ進み始めて30分しか経っていない。こんな序盤で引き返すわけには行かないので迂回路を探していると、うまい具合にそばにあった大岩の表面に黒いチョークでルートの指示が書かれているのを見つけることができた。指示に従って、岩から岩に渡り、最後に対岸へ跳躍(汗
 「いやあ、何とか渡れましたねえ」
 「しかし、何というか、もうずたずただなあ・・・この先は大丈夫なのか?」
 「ですねえ・・・」
 正直先行きが不安だったが、徒渉点を過ぎた後は、しばらく順調な山行が続いた。相変わらずぽつぽつと雨は降り続いていたが、ルートはさほど荒れてはいない。山肌に露出した木の根や岩を手がかりに全身を使って急斜面を登る。
 初参加の赤尾隊員はかなり疲弊しているらしく、無言のまま登坂作業をこなしていた。
 やがて、袖ダキへ至るルート上で最大の難所である連続ハシゴが現れた。難所と言っても鋼鉄製のハシゴが岩にボルト止めされているので、それほど不安は感じる場所ではない。それでも、ほとんど垂直に切り立った崖を登るわけだから、誤って落ちれば無事ではすまない。ハシゴをクリアし、続く急坂と格闘していると、突然目の前が開けた。
 「着きました。ここが袖ダキです」
 僕は荒い息を吐きつつも、誇らしい気持ちを覚えながら言った。
 初めてここに来た人は皆、少なからず声を上げる。
 その人の中にある既成の山のイメージを完膚無きまでに覆す白亜の美峰。
 九州ではおそらくここでしか味わえないであろう圧倒的なまでの高度感。
 ここからの眺めは九州の山屋の誇りである。
 しかし、今回は濃いガスで完全に視界が遮られていた。
 自分たちが今とんでもない場所に立っているであろうことは想像がついているのかも知れないが、隊長も赤尾隊員も今一つピンとこないようであった。
 だが、幸いにして、風はそこそこ吹いている。待っていれば、必ずガスの切れ目に遭遇するだろう。
 「ここからの展望は記事を書くために絶対に外せないポイントですよ」僕はそう隊長に進言すると、ガスが切れるのを待つことにした。
 15分ほど待っただろうか。
 ほんのわずかな時間だったが、すうっとガスが薄くなった。
 その一瞬 ――
 蒼黒く見えるほどの深い緑色をした森が、視界のはるか下方、一面に広がった。
 その森を隔てた向こうには圧倒的な質量の岩壁が眼前を塞ぐように聳え立っている。一枚岩かと見まごうような小積ダキの岩峰だ。
 「うおおっ!」
 「うひゃあ!」
 初見の二人がたまらず声を上げた。
 期待したとおりのリアクションだ(^^
 「この下・・・本当に何にもないですよ」今更ながら赤尾隊員が岩の上に座り込む。
 「これは本当にすごいものだな」一方、隊長はカメラを覗き込みながら声を震わせていた。「すごい、本当にすごい・・・。しかし、この質感はカメラのレンズじゃ拾いきれん」
 ガスの切れ目は山頂を目がけてゆっくりと駆け登っていった。
 下・中・上の和久塚が順に姿を現していく。
 「おおお・・・向こうもすごいな」
 人は本当に圧倒されるモノに遭遇すると語彙が乏しくなるらしい。
 僕たちはその後もガスの向こうに大崩山の岩壁が姿を見せるたび、「すごい」を連発したのだった ――

 その後、11時20分、下和久塚へ到着。
 天候はいっこうに回復せず、思った以上に時間を消費していたこともあって、ここを最終目的地とし、下山開始。
 15時ちょうど、大崩山荘に到着。昼食を兼ねて2時間ほど休憩することにした。
 「また、いつか必ず来よう」食事の最中、隊長が言った。
 「これで取材は終わりじゃないんですか?」
 「いや、これで終わりなわけないだろ。これからはいろいろ考えずに自由に山に行ける。記事のために無理矢理山頂に行く必要もないからな。気に入った場所があれば、そこで一日過ごして下山するというのもおつなもんだ」
 隊長はそう言って笑うと、レトルトのカレーをパンですくってうまそうに頬張った。
 「しかし、今回はこのノートに救われましたねえ・・・」
 僕は山荘の柱に吊されているノートブックを叩きながら言った。
 「我々も何か書いておこう」
 「何をどう書けと?」
 「まかせる!」
 「わかりました・・・」

 『大分市から来た3人組です。
  またくる!
  BY 古国府山友会(仮称)』
(文・山岡隊員 、写真及び写真説明・山岡隊員)
2段ザックの座りを確かめる甲斐隊長 大崩山上祝子登山口 夜の大崩山荘
2段ザックの座りを確かめる甲斐隊長。
最終回の取材に気合いが入る。
大崩山上祝子登山口 (21:30)
ヘッドランプを点けて、行軍開始!
夜の大崩山荘 (22:00)
我が隊の他に利用者はいない。
ランタンを点けてみる 小屋の中のカマドで焚火 一夜明けて、大崩山の朝
ランタンを点けてみる。
とてもよい雰囲気だ(^^
小屋の中のカマドで焚火をする。
この後は、お約束のバーボンタイム。
一夜明けて、大崩山の朝――
あれ、あれれれ・・・。
山荘そばの河原を見て愕然となる 山荘に戻って作戦会議 予定を湧塚コースピストンに変更
山荘そばの河原を見て愕然となる。
台風5号の被害で去年と様子が一変。
山荘に戻って作戦会議。山荘のノートには小積ダキコース通行不可との記述が。 予定を湧塚コースピストンに変更。
しかし、出発直後から雨が降り始める。
雨の中、取材を強行する初参加の赤尾隊員(前)と甲斐隊長(後) 渡渉点 迂回路の標示を発見
雨の中、取材を強行する初参加の赤尾隊員(前)と甲斐隊長(後)。 渡渉点 (8:00)
堅牢な鉄パイプの橋が流されている。
「ここでトベー!」との迂回路の指示。
と、跳ぶんかいっ( ̄□ ̄;)!!
急激な傾斜に挑む甲斐隊長 袖ダキ分岐 袖ダキに到着
急激な傾斜に挑む甲斐隊長。
雨が勢いを増して、その行く手を阻む。
袖ダキ分岐 (10:00)
右は山頂に続くバイパスルート。
袖ダキに到着 (10:30)
展望はないが、幽玄な景色に満足^^
袖ダキに到着 下湧塚へ至る連続ハシゴ 乳房岩展望台への分岐
袖ダキより湧塚を望む。
ガスの切れ目に、何度も撮影(汗
下湧塚(11:20 着)へ至る連続ハシゴ。これから先は雨が激しく、撮影が困難になっていった。 乳房岩展望台への分岐 (12:30)
大崩山荘着 (15:00)
昼食・山荘清掃後に下山 (17:30)
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